矯正歯科
凸凹の歯並びや噛み合わせの悪さが目立つこと、これらを総称して「不正咬合」といいます。
不正咬合は咀嚼(そしゃく)器官の健全な成長発育を妨げるばかりでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼし、時には心理的なコンプレックスを招くことさえあります。矯正歯科治療は不正咬合を奇麗な歯並びやよい噛み合わせにすることで健康な発育を促すことができます。
不正咬合の主な原因
不正咬合になる原因として遺伝や癖など様々な原因があります。
ここでは主にあげられる原因についてご紹介します。
遺伝
子が親に似るのが遺伝です。顎や歯の形は遺伝しやすいので顔も似てきます。例えば親が受け口ですと、子供も同じく受け口になる可能性があるわけです。その症状がはっきり現れるのは第2次成長期を迎える12歳以降のことです。それ以前から対策を講じておけば不正咬合は最小限に抑えることができます。
病気
「鼻づまり」や「扁桃腺肥大」の方は口で呼吸するため歯並びの横幅が狭くなり、上の前歯が押し出されて上顎前突になります。また顎骨の中にできた腫瘍や、のう胞によって歯が移動してしまうこともあります。
癖(くせ)
乳幼児期の指しゃぶりは正常な行動とされていますが、乳歯が生えそろってから永久歯が生えるまで長期にわたって指しゃぶりが続くと開咬といって前歯が咬み合わなくなったり、時には上顎前突にもなる可能性があります。
乳歯の虫歯
虫歯を放置すると痛みばかりではなく、噛み合わせもズレてきます。生え変わる永久歯の形の異常や位置異常を招きます。
乳歯の早期喪失
永久歯は前へ前へと動く習性があります。例えば6歳頃に生える第一大臼歯は、前方の乳臼歯が虫歯により崩壊していたり抜けていると直ちに前方へ移動してしまうので、そこに本来生える永久歯のための場所がなくなります。結果として凸凹の歯並びができるのです。八重歯はその代表例です。
歯の交代のトラブル
乳歯から永久歯に交代する混合歯列期は6歳ころから12歳頃までの数年間です。その間に永久歯の生える順序が乱れると歯列や噛み合わせの形成が妨げられ、不正咬合になります。
歯並びが悪いとどうなるの?
歯並びが悪ければ、噛み合わせも悪いので、全身の健康に影響を与えます。
それは肉体的なものばかりでなく、精神的にも大きな負担になります。
豊かな顔の表情を大切にする欧米では、健康的で整った美しい歯並びにすることがもはや常識であり、凸凹の歯並びは就職や面接などで大きなハンデとなっています。一昔前の日本では、八重歯をチャームポイントとする人を多く見かけましたが、最近ではそれに対する日本人の考え方も変化してきました。
歯並びを治す矯正歯科は、病気を治すのと同じように歯の正常な咀嚼(そしゃく)機能を取り戻し、健康な身体と心を作るための歯科治療なのです。
そして治療がすめば、健全な咀嚼(そしゃく)器官とともに健康美あふれる笑顔も手に入れることができます。
矯正歯科治療をする必要があるケース
噛みにくい、発音しにくいなどの機能障害がある
歯並びが悪く歯を磨きにくいために虫歯や歯周病になっている
骨格的に咬み合わせがズレている
歯や顎が原因で唇が閉じにくい
審美的(見た目)に問題がある
不正咬合が与える影響
食べ物が歯の間にはさまりやすく、歯を磨きにくいため、虫歯や歯周病になりやすい
食べ物をよくかみ砕けず、胃腸などの消化器官に負担がかかる
上あごと下あごをつなぐ顎関節に負担がかかり、顎関節症になりやすい
咀嚼筋の発達に影響を与え、筋力のバランスが崩れて姿勢も悪くなる
正しい発音がしにくくなる
視力低下の原因になるといわれ、学力や運動能力の低下を招きやすい